学校と、ホームスクールと

初めての子育て。誰も教えてくれないけど大切なこと。人と比べず情報に翻弄されず。経験をシェアすることで誰かの役に立つといいな。

フランス人に学ぶこと① 他人とぶつかることを恐れない

せっかくフランスに来ているのだから、フランス人達の素晴らしい生活習慣や知恵を私も身に着けたいものだ。そこで今回はこのタイトルをつけた。何回かに分けて記事を書いていきたいと思う。

 

私は今まで、イギリスに半年・ニュージーランドとオーストラリアにそれぞれ1年ずつ滞在した事がある。その他にも旅行が大好きな私はいろいろと旅もしてきた。それでも、正直言って今まで日本以外に住みたいと思ったことは1度もないかもしれない。私が旅が好きなのは、新しい場所で新しい人達に出会い、そこには新たな発見がいつもあって、かけがえのない友人ができたり、人生の知恵となるものを教えてもらったりする。そして私はそれらを胸に日本に帰って来るのだ。私が旅が好きなのは、帰る場所を知っているから。

そう思ってきたけど、今、2歳と3歳の娘の母親として住む場所を考えたとき、必ずしも日本に住むことが唯一の選択肢ではない事に改めて気づいた。それは、教育のシステムから社会保障制度や政治のシステムなど日本が抱えてる大きな問題だけが理由ではなく、一般市民の暮らし方や考え方などにも、日本より優れているものを見出すことができるからかもしれない。もちろん、一概に比べられるものでもないし、全てに置いてフランスの方が優れているとは思わない。そしてこれは私個人の思いであって、皆がみんなそう思うかと言ったらそうではないと思う。

それでも、私がフランスで子供を育てたいと思い始めた理由は、もしかしたら多くの人が共感できるものかもしれないとも思う。

 

それは例えば、日本には元々素晴らしいおもてなしや義理と人情の文化があった。でもそれは侍文化が途絶えたとともに、気づけばいつの間にか歪んできて、ただの建前となり自分の本音を言えない文化へと変わってしまった。人との違いを恐れ、本音でぶつかり合えない関係はとても息苦しく、薄っぺらい人間関係しか生み出さない。もちろん、それでいいと思えばそこまでだけど、私たちの奥底に閉じ込められた個々の人格や思いをシェアすることによって、深い部分で理解しあうことができる。例え意見が違ったとしても何の問題もない。だって自分と全く同じ意見を持った人間なんて、この世の中に一人としていないんだから。

 

私にとってフランス人は、人と異なることを恐ず、そして人とぶつかることも恐れず、自分の中に揺らがない気持ちを持っている人種だと思う。ポンコツ車に乗っていても、同じ服を毎日着ていても、自分が良ければそれでいい。他人の目は全く気にならないのだ。

逆に日本人は、人と異なることを恐れ、ぶつかり合うことを最も恐れる。周りの人と同じような服を着て、話を合わせる。会社で嫌な人がいても本人には決して言えないから、家に帰って愚痴を言う。周りに合わせるために自分を抑えて、でもその抑圧された気持ちをどこか別の場所で発散する。他人から自分がどう見られているかがとても大事なのかもしれない。

 

そう考えると、日本で陰険ないじめや犯罪があることも、古いものは捨てられ新しいものばかりを求める性質も、競争社会も、いろいろな所で妙に辻褄があってくる。

私自身が過去そういった人間だったからこそ、分かるものでもあるのかもしれない。でも私は変わりたいと強く思ってきた。だからこそ変わる事ができたと思うし、まだまだ変わりたいと思う部分も沢山ある。それでも、何十年もかけて培われた人格や考え方はそう簡単に変えられるものでもない。でも、大切なのは自分がどうなりたいかを分かっていることだと私は思う。

私はキキとメイにそれぞれの個性を抑えることなく育って欲しいと心から思う。出来ないことがあってもいいし、他の子と違うところがあってもいい。自分の気持ちを恐れず表現できる人間になって欲しい。私の目から見ると、日本の学校では厳しい校則やルールで個性を潰し、大人や力のある者が簡単に指導できる人間に育て上げられる。抑圧され続けた子供たちはいつの間にか自分の頭で考えることを忘れ、反発の気持ちばかりが育っていく。そして行き所を失ったその気持ちの発散方法として、いじめや犯罪といった行動になるのではないだろうか。

 

つい最近、近所に住むショコちゃんの長男(13歳・フランスと日本のハーフ)に聞いてみた。”日本の学校とフランスの学校ならどっちが好き?”と。そしたら彼は”どっちも好きじゃない”と。”でも日本の学校はルールが厳しすぎて嫌い”と答えた。

彼の答えに妙に納得している自分がいた。フランス VS 日本でフランスに一票入った瞬間。

 

親として、子供により良い環境で育って欲しいと思うのは当たり前のことだと思う。私の場合は、ラッキーなことにフランスと日本という選択肢がある。でも考えを変えれば、少し悲しい事でもある。自分が生まれ育った国日本では、自分が思い描く様な子育てがもうできないのかもしれないと言うこと。戦前まで続いていた文化や目に見えない大切なものを、私たちは発展とともに便利さや贅沢さと引き換えに失ってしまったと言うこと。

私はそれに今気づき始めた。そして私たち世代の若者の多くが気づき始めていると私は信じている。後戻りはできない発展しすぎた歪んだ世の中。どこに住んでいても安心して子供を育てられる環境を作りたいと心から思う。

 

 

~フランス人に学ぶことシリーズ~

フランス人に学ぶこと①他人とぶつかることを恐れない
フランス人に学ぶこと②”今”を生きる
フランス人に学ぶこと③古いものこそ価値がある文化
フランス人に学ぶこと④便利な生活と引き換えに払った大きな代償